自分の部屋で、キッチンテーブルの上に大量の野菜が広げられていた。ニンジン、玉ねぎ、トマト。普段は調理をしない私が、なぜか自然と包丁を握っていた。野菜を切ると、その断面から光が漏れていた。不思議だと思いながらも手を止めず、切った野菜を鍋に入れると、部屋全体が温かい湯気に包まれた。窓の外は暗いはずなのに、その湯気の中だけが明るく見えた。やがて、部屋の隅に積み重ねられた荷物が、スープの香りに引き寄せられるように少しずつ動き始めた。 最近、引っ越しの準備で部屋の片付けをしていて、何か新しく始めたいという気持ちが無意識にあったのかもしれない。料理をすることで、閉じた空間を温かく変えたいという願いが形になったんだろう。