歯医者の待合室にいた。壁は真っ白で、窓がなく、時間が止まっているような空間だった。呼ばれて診察室に入ると、歯科医が鏡を持って近づいてきた。鏡に映った自分の歯を見ると、すべてが透明になっていた。医者は何も言わず、透明な歯をひとつひとつ指でつついていく。音はしない。やがて歯が砂のように崩れ落ちて、口の中が空洞になっていく。医者の顔は常に影の中にあって見えない。不思議と痛みはなかった。ただ、自分の歯がなくなっていくのを静かに見つめているだけだった。