台所にいた。鍋の中で何か煮込んでいた。具材を切ろうとして振り返ると、背後に階段が見えた。上へ上へと続いていた。階段を上ると別の台所があった。そこでも何か調理していた。また階段があった。上った。別の台所。この繰り返しだった。階段の段数は数えられなかった。各階の台所の様子は微妙に違っていた。火加減が異なっていた。使っている道具が異なっていた。どの階にいるのか分からなくなった。下を見ると階段は霧に覆われていた。上を見ても霧だった。手に持っていた菜箸が重くなった。