祖母が台所に立っていた。数年前に亡くなった人だと分かっているのに、何も違和感がなかった。祖母は味噌汁を作っていて、大根と豆腐を切っている。「ゆうき、手伝ってくれる?」と言われて、私は野菜を洗い始めた。会話はほとんどなく、ただ一緒に料理をしていた。やがて祖母が「もう行かなきゃ」と呟いて振り返ると、台所の壁が透き通り始めた。祖母の姿も薄れていく。「待ってください」と言おうとしたが、声が出ず、祖母は静かに光の向こうへ消えていった。私の手には大根が残っていた。