浜辺にいた。砂浜が広がり、波が静かに寄せては引く。ポケットに携帯電話があったから確認すると、何度も着信が入っていた。母からだった。かけ直そうとしたが、砂浜の端で誰かが手を振っていて、そちらに気を取られてしまう。また電話が鳴った。今度こそ出ようと思ったのに、足が砂に沈み始めて、動けなくなった。画面は光り続けている。海の方から声が聞こえてくる。呼ばれているような気がして、そちらを向くと、いつの間にか水が膝まで来ていた。電話はまだ鳴っている。出なくちゃと思うのに、体が海に引き込まれていく。 先週、仕事の電話を何度か逃してしまったことがあった。それが心のどこかに引っかかっていたのかもしれない。