真夏の昼下がり、駅前の広場にいた。日差しが強く、地面からの熱気が立ち上っていた。周りに人影は少なく、ベンチに座っている老人が一人いるだけだった。その人の隣に座ると、老人は何も言わずに麦茶の入ったコップを私に渡してくれた。飲むと、子どもの頃に祖母に飲まされたような懐かしい味がした。会話はなく、ただ一緒に炎天下を眺めていた。やがて老人は立ち上がり、どこかへ去ってしまった。私も立ち上がろうとしたが、足が動かず、ベンチに座ったままだった。 先週、実家の片付けで祖母の思い出の品を整理したばかりだった。その時の気持ちが、こんな形で出てきたのかもしれない。