最初は普通の駅だったんだけどさ、改札を通ったら時間が逆走してるって気づいたわけ。駅の掲示板が秒単位で変わるんだ。途中で、ホームに立ってる乗客たちが皆同じ顔になってて、焦ったよ。みんなこっち向いて微笑んでるの。「乗らないんですか?」って声が聞こえたから逃げるように階段を上ったら、そこはもう違う駅になってた。古い駅舎で、窓から見える景色が全部逆さまになってる。最後には、ホームに一本だけ電車が停まってて、乗客は誰もいなくて、座席に自分の学生時代の写真がいっぱい落ちてた。電車は動かないのに、景色だけがスルスル後ろに流れていく。不思議と怖くはなくて、むしろ懐かしい気分になってた。窓から見える景色が全部、昔行ったことのある場所になってくのに、名前が思い出せなくて。そのままずっと乗ってた。