いつもの通勤路を歩いていた。駅に向かって足を動かしているのに、景色が変わらない。同じ電柱、同じ看板、同じ角の店が繰り返し現れる。走ってみると、余計に遅くなった。足が地面を蹴っているのに、体が後ろへ引き戻される感覚がした。周囲の人たちは普通に歩いて去っていく。時計を見ると、針が逆回転していた。焦りはなく、ただ同じ50メートルの区間を何度も往復していた。