いつもの通勤路を歩いていた。駅に向かう坂道だった。途中で道が二つに分かれていた。左は見覚えのある方向。右は霧がかかっていて先が見えなかった。右に進むことにした。歩くと建物が増えた。窓のない灰色の壁ばかり。足音が響いた。振り返ると自分の足跡が光っていた。光は消えて、また現れた。同じ場所を何度も通っているのに気づいた。同じ角を曲がっている。信号は常に赤だった。青になることはなかった。人通りはなかった。空は白かった。時間が進んでいないようだった。