古い温泉旅館に泊まってたんだけどさ、最初は普通の観光客として大浴場に向かってたわけ。でも途中で廊下が急に暗くなって、壁の障子紙がボロボロになってるのに気づいて。なんか不気味だなって思って進んでいったら、浴場の扉が開いたんだよ。そしたらさ、中には誰もいなくて、湯気だけがもくもく立ってて、温泉のお湯が真っ赤に染まってたんだ。焦ったね。引き返そうとしたら、後ろから旅館の女将らしき人が『お客さん、時間ですよ』って声をかけてきたんだけど、振り返ったら顔が見えなくて。その瞬間、旅館全体がカタンって傾いて、廊下の障子がバラバラ崩れ落ちてきたの。必死に逃げてたら、階段から転がり落ちて、最後には源泉の奥底に沈んでくような感覚がして。真っ黒になった。