桜並木の道を歩いていた。散った花びらが地面を埋め尽くしていた。花びらを踏むと音がした。靴の中に入ってくる感覚があった。道の先に人影が見えた。近づくと誰もいなかった。振り返ると花びらが風もないのに舞い上がっていた。空が薄紫色に変わった。花びらが増えていく。呼吸が浅くなった。足が重くなった。道が斜めに傾いた。花びらが口の中に入ってきた。吐き出そうとしても出ない。目を開けると花びらが目に入った。瞼が重い。花びらの匂いがした。甘い匂いではなく、土の匂いだった。