駅の改札を通ろうとしたら、腕時計が必要だと言われた。腕を見ると、そこには古い懐中時計がぶら下がっていた。針を見つめるのだが、どれが時針でどれが分針なのか判別できない。秒針だけが異様に速く動いている。改札員は待つように促すが、時間が読めず焦燥感が募る。周囲の人たちは次々と通っていく。必死に時計を傾けたり、目を近づけたりするが、数字も文字盤も曖昧にぼやけている。やがて改札そのものが消え、駅全体が薄暗くなり、時計の音だけが大きく聞こえ始めた。